債券が発行されて償還に至るまで、一人の投資家の手に保有され続ける以外に、第二、第三の投資家へとその所有者が移っていくこともあります。この債券が売買される場所のことを流通市場と呼びます。なお、市場といっても、魚市場や青果市場のように目に見える場所を指すのではありません。狭義の意味で流通市場というときは、兜町や大阪北浜、名古屋にある証券取引所の債券立会場のことをいいますが、これは債券の取引が行われる場所のほんの一部に過ぎません。流通市場は証券取引所以外の広い世界にもあるのです。流通市場では、公募債、非公募債を問わず、既発債が売買されます。その際、投資家から公社債の売買注文を受けた証券会社等は、自らが売買の相手方となって相対で売買をする場合と、自らは相手方とならず、その注文を取引所へ取り次ぐべき注文として受け、取引所で売買の相手方を探す場合があります。前者は、店頭市場での仕切売買とか相対売買といわれており、これを「店頭取引」といいます。店頭取引は、取引所取引のように注文が一箇所に集められるのではなく、投資家と債券ディーラーあるいは債券ディーラー同士で、個別的に相対の売買を成立させます。店頭といっても、この場合は物理的な意味での証券会社等のカウンターで取引するという意味ではなく抽象的な表現です。つまり、証券会社等と投資家の間で電話などを通じて行う売買のことです。一方、後者は「取引所取引」であり、委託売買(略して委託)といわれるものです。取引所取引においては、上場されている銘柄について、投資家が証券会社を通して売買の注文を出します。そして、取引所に集められた注文は整理・統合され、売買が成立します。