債券先物取引とは、将来の一定の期日に、現時点で取り決めた価格で取引する契約のことです。債券先物取引は、売買単位や受渡期日などの取引条件が定型化され、一定の証拠金を差入れるだけで売買ができ、かつ、反対売買(差金決済)によって期日以前に決済することもできます。東京証券取引所で行われている債券先物取引は、実際に発行されている債券そのものを対象として取引されるのではなく、「標準物」と呼ばれる取引の円滑化を図るために東京証券取引所が「利率」「償還期限」などを標準化して設定したものを対象として取引が行われます。標準物を取引対象とする方式は、対象銘柄を変更する必要がなく、個別銘柄の属性が捨象され、価格の継続性が維持されるといった長所があることから、海外の債券先物取引においても広く利用されています。わが国における債券先物市場は、1985年10月19日から取引が始まった長期国債先物取引が最初となります。先物市場が創設された背景としては、公社債残高の累増と金利の自由化の進展に伴い、債券の価格変動への対応の必要性が高まってきたことや、海外の主要金融・資本市場において先物取引が重要な一分野として定着していることなどから、海外市場と同様に債券の価格ヘッジ手段を備えるべきであるとの機運が高まったことなどがあげられます。その後、1988年7月8日には超長期国債先物取引が、1989年12月1日にはT-Bond先物取引が、さらに1996年2月16日には中期国債先物取引が開始されました。現在、東証で行われている債券先物取引には中期国債標準物(償還期限5年、利率3%)を対象とした「中期国債先物取引」、長期国債標準物(償還期限10年、利率6%)を対象とした「長期国債先物取引」、超長期国債標準物(償還期限20年、利率6%)を対象とした「超長期国債先物取引」、米国財務省証券(T-Bond)標準物(償還期限20年、利率8%)を対象とした「T-Bond先物取引」があります(T-Bond先物取引の新たな限月の設定は1999年9月限月以降休止されています)。また、長期国債先物取引は東証のほか、LIFFE(ロンドン)やSGX(シンガポール)でも取引されています。